2020.01.09 the HIATUS Jive Turkey vol.04 1st Show at Blue Note Tokyo
もう毎年このシリーズを見に行くことはあたしの中でルーティーンになっている。
いつもライブハウスを主戦場とするthe HIATUSがジャス箱を周り、普段とアレンジもセットリストも様変わりさせて行う、スペシャルなライブ。それがJive Turkey。
チケット代は1番安い席で6500円。普段のエイタスのライブから比べるとざっと2.5倍くらいする。1st・2ndで一日に2本やるため、アンコール含めて11~12曲ほどの少なめのセットリスト。
少し敷居が高く感じてしまう人もいると思う。しかし、ここでしか見れない凄まじく特異なthe HIATUSを見るためなら、コスパなど悪いわけがないなと行くたびに思わされる。
the HIATUSというバンドはそれほどに深い懐から様々な武器を出してくるモンスターのようなバンドなのである。
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開場し席に着くと、ギャルソンからメニューを渡される。
毎年Jive Turkeyでは、この日限定のオリジナルカクテルが作られる。
カクテル名の所には「考え中 (公演中に発表します)」と書かれている。
毎年細美さんが命名するオリジナルカクテル。ワイルドターキーをギネスビールで割ったものにレモンがのっている。
毎年恒例なので、こちらを注文。
公演中に発表された名前は"German Invasion"でした。
クラフトビール大好きなあたしにはもってこいなカクテルでした。
Blue Note Tokyoは本当にハコの雰囲気が良すぎて、開演前にお酒を飲んでいると勝手にフワフワしてきてしまう。
そんなことを言っていたら暗転。
メンバーが1人ずつ登場してはそれぞれの楽器を鳴らし、音を重ねていく。ドラム、ベース、ピアノ、ギターと重なり、細美武士登場。
本日の夜は"Regrets"からスタート。
不必要なものが極限まで取り除かれた、澄みきった素晴らしい名曲。
お酒を片手に肩を揺らしながら、音楽を楽しむお客さん達が薄暗い照明の中に見えて"Regrets"のPVのワンシーンのようだった。
次の曲は対極的に洪水のような重奏が奏でられる。
、、、この曲なんだ、、?
細美さんが歌い始めてやっと"Thirst"だと気づいた。
わかるわけがない。こんな多幸感のあるアレンジをされたら。
4thアルバム"Keeper Of The Flame"の幕を開ける不吉なイントロ。ループステーションによって重ねられていく何か生命体の鼓動のようなリズム。
そんな不穏感が"Thirst"の何よりの魅力だし、幾度となく聴き続けた曲のイメージがこちらとしては完全に固まっている。
ここまで書いた"Thirst"への御託をぜーんぶ水に流してしまうような多幸感と美しさに包まれた素晴らしい"Thirst"に空いた口が塞がらなかった。
逆に考えてみれば、荒い叫びに近いメロディだと思っていた"Thirst"のメロディはこんなことが出来てしまうほどに美しいものだったんだということに気付かされた。
こういう体験ができてしまうから、Jive Turkeyは本当にやめられない。
"Bonfire"では伊澤一葉のピアノが決まりまくる。美しいことは言うまでもないないが、本当に飛び跳ねまくるような演奏に椅子に座ってることがもどかしくなってくる。
笑顔で幸せそうに"Horse Riding"を歌い終わったあと、細美さんは話し始めた。
「正月に16とか17の頃、一緒に単車乗って走り回ってた昔の仲間に久々に会ったのよ。
今でも思い出すんだけど、あの頃のなんにも怖くなかった、無敵だった自分。本当に大事でずっと忘れたくねえなあって思う。
次の曲はそんな無敵だったあの頃の自分の曲。
みんなもそういう時絶対あったでしょ?その時の自分のことを思い出しながら聴いてください。」
そう言って"Clone"が演奏される。
無敵だった自分・・・。いつだろう?
いっつも泣いていた。いっつも寂しがってた。そんな自分ばかりが思い浮かんでくる。
あ。そうだ。それでもあたしはライブハウスにいる時間がいつだって無敵だった。
あの時間だけは、ずっとずっと何も考えることなんてなくて音楽と自分だけがそこにあった。
いまもずっとそうなんだよな。音楽と出会えたことがあたしを強くしてくれてたんだ。
そう思ったらふと涙がこぼれていた。
ラストはあっという間にくる。"Firefly / Life in Technicolor"がはじまる。
みんなが手拍子をしながら肩を揺らす。
細美さんは誰よりも楽しそうに踊っている。
本当に幸せな曲。
アンコールは"Catch You Later"
素晴らしいメロディがBlue Note Tokyoを包む。
こんなに今日の終わりと明日への光を脳裏に映し出してくれるメロディは他にない。
「ありがとうございました!良い新年を!」マサくんのよくわからない挨拶で爆笑の中、大円団に。
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"Firefly / Life in Technicolor"を聴いている時間。これが本当に幸せな時間だった。
エイタスが始まった頃、こんなに幸せの溢れた曲がエイタスから聴けるなんて思ってもみなかった。
10年って時間は本当に色んなことをあたし達に教えてくれたね。
10年前地獄の苦しみのようなあなたたちの歌に救われていたあたしは、今あなたたちの幸せな歌を聴きながら笑顔で手を叩いてる。
こういう時にこの言葉使うんだよね。
最高だよ。
また来年もこの場所で。
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2020.01.09 the HIATUS
"Jive Turkey vol.04" 1st Show
the HIATUS セットリスト
1.Regrets
2.Thirst
3.Geranium
4.Servant
5.Bonfire
6.Horse Riding
7.Clone
8.紺碧の夜に
9.Insomnia
10.Firefly / Life in Technicolour
en1.Catch You Later